2026.07.29
被災地にいない、私たちにできること
執筆: 輪廻タヲ ・ AIを活用した音楽・イラスト・映像作品を制作するコンテンツクリエイター

この記事の目的は、被災地の外にいる我々が、今をどう生きるかを考え、記したものです。
被害状況の解説や、募金の呼びかけが目的ではありません。
先に、一番伝えたいことを書きます。
被災地の外にいる人が、いつも通り過ごすこと、笑うことは、悪いことではありません。
薄情でも大げさでもなく、専門家や先人も指摘してきた、自然な感覚です。
理由は、この後の①で説明します。
2026年7月28日、熊本県で震度7の地震が発生しました。
まだ余震が続いていて、被害の全体像もはっきりしていない段階です。
今の状況は、2011年の東日本大震災と、酷似しています。
実際に起こった事象を踏まえ、今をどう生きるべきかについて、考えてみましょう。
東日本大震災の教訓
善意から始まった行動が、かえって混乱や批判を招いた例がいくつもありました。
①被災地から離れた人が、連日の報道で心を病み、「平穏な自分」に罪悪感を感じた
②個人が持ち込んだ物資が、現地の受け入れ体制を圧迫した
③知名度のない人の被災地訪問は「売名」と揶揄された
④募金を呼びかけた人が、「偽善」と叩かれた
⑤真偽不明の情報が、被災地の外からチェーンメールやSNSで拡散した
①心がしんどくなるのは、おかしなことではない
被害に遭っていなくても、繰り返し映像を見ることで、まるで自分もその場にいたかのように心が反応することがあります。
専門家はこれを「共感疲労」と呼びます。
思いやりが強い人ほど、罪悪感や無力感を抱えやすいそうです。
不眠や動悸が2週間以上続く場合は、専門家に相談してください。
それ以外は、つらい報道を見る時間を減らす、深呼吸(4秒吸って6秒で吐く)、信頼できる人に話す、この3つで十分です。
日本精神神経学会の加藤寛医師は、こんな言葉を紹介しています。
社会が被災地のことを忘れたときに、本当の災害が始まる。
一時的に情報から離れることは、長く気にかけ続けるための、必要な休憩。
東日本大震災の直後、甲本ヒロトさんはラジオでこう語ったと伝えられています。
いつもどおりやろうぜ。
ガンガン働いて、ガンガン稼ごう。
そして、ちょっとでも分け合えたらいい。
過度な自粛で日常や経済まで止めてしまうと、被災地が戻ってくるはずの「いつもの世界」まで失われます。
普段どおりの生活も、立派な支援。
②物資は、公式の呼びかけを確認してから
実は熊本は、2016年にも大きな地震を経験しています。
そのときも善意の物資が集まりすぎて、賞味期限切れの食料2万食が廃棄され、受け入れを中止した避難所に1人あたりバナナ20本が届く、という事態が起きました。
同じ場所で、同じ失敗を繰り返さないために。
送りたい場合は、自治体やNPOが公式に呼びかけている品目・送り先を、確認してからにしてください。
大切なのは、善意より先に、確認という一手間。
③「行きたい気持ち」は、一度立ち止まる
俳優の杉良太郎さんは、被災地での炊き出し中に「偽善では?」と聞かれ、「偽善で売名ですよ」と即答したことで知られています。
発信力のある人の訪問自体は悪くなく、受け入れ側の状況を確認しないまま動くことが問題だったようです。
宮崎駿監督は震災直後、大きな発言を控え、被災地訪問も4か月後でした。
忌野清志郎さんは、報道ヘリが救助の妨げになることを曲にしました。
早い行動と、慎重な沈黙。
どちらも、支援のかたち。
④募金は、静かに・信頼できる先に
静かな寄付と、声高な寄付。
中身は同じでも、受け取られ方はまるで別物になります。
恩着せがましくならないよう、事実を淡々と伝えるくらいがちょうどいいです。
募金先への不安は当然です。
過去の災害では、公的機関や有名団体を装う詐欺も報告されています。
見分け方は単純で、公式サイトのURLに自分で直接アクセスし、SNSやDMのリンクは経由しないことです。
使い道や運営費が明記された募金先の例です。
・日本赤十字社 義援金は配分委員会を通じて全額被災者へ。国や自治体の事業には使われない
・Yahoo!ネット募金「令和8年熊本地震緊急支援」(公益社団法人Civic Force) 特定公益増進法人。運営費15%を明記した上で活用、活動報告も公開
⑤情報は、広める前に一呼吸
東日本大震災では、「有害物質を含んだ雨が降る」という誤情報が、被災地から遠い場所にいる人たちを中心にチェーンメールやSNSで広がりました。
「誰かの役に立ちたい」という気持ちが、皮肉にも混乱を広げてしまったケースです。
拡散する前に、発信元が公的機関かどうかを確認してください。
それだけで、防げる混乱があります。
輪廻タヲとして
被災地の外にいる人ができることは、実はそんなに多くありません。
でも、「何もできない」ことと、「何もしなくていい」ことは、違います。
慌てて物を送らない。慌てて現地に行かない。慌てて発言しない。
それだけでも、十分に意味のある行動です。
冒頭で書いたことを、もう一度。
いつも通り過ごしている人がいるからこそ、被災地の人たちが「帰ってくる場所」も残ります。
一人ひとりが、落ち着いて過ごすこと。
それこそが、一番の支え。
参考: NPO CROSS「被災地支援に個人物資はイラナイ」 / まぐまぐニュース「偽善で売名ですよ」杉良太郎の復興支援インタビュー / 板橋区「報道や情報に触れてつらい気持ちになったら」 / 日本精神神経学会「災害時の精神的ケアについて」 / とも整形外科・心療内科クリニック「トラウマや不安を感じたら」(医師監修) / NEWSポストセブン「日本ユニセフの募金者から批判殺到」 / ピースウィンズ・ジャパン「2016年熊本地震から10年」 / Google.org「東日本大震災でわかった緊急時コミュニケーションの難しさ」 / 金融庁「義援金等を装った詐欺にご注意!」 / Civic Force「報告書・発行物」
輪廻タヲ / Rinne Tao
AIを制作に活用するコンテンツクリエイター。音楽、イラスト、映像作品を中心に発信しています。
最新作品やAIに関する考察はXで発信しています。
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